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今日、お土産に「練り香水」というものを頂いた。軟膏みたいな、塗るタイプの香水だ。

香水を頂いたのは生まれて初めてのことだが、これ、かなり嬉しい。私は嗅覚がないので、匂いに関するものを頂けると、とっても助かるのだ。

19歳の時に交通事故で嗅覚を失ってから、私は「匂い」に関して、かなりクローズしていた。

香水もそうだし、芳香剤とか、アロマとか、お香とか、消臭剤とか、そういった匂いに関するものは、私の生活から一切排除していた。

あってもなくても、同じなんだもん。匂いを出すものも、匂いを消すものも、使ってみたところで私にはまるで違いがないというか、匂いは一切感じられないので、自然と生活から、そういったモノが消えていった。

それなのに、どういう訳か、匂いに興味が湧くようになってきたんだよね。

相変わらず、匂いは分からないんだけど、昨年末から香水をつけてみたり、アロマを焚いてみたりとか、匂いに対して積極的になっていった。

嗅覚がないことは私のコンプレックスで、それで今までは、心がクローズしていたのかもしれない。

それが、いつの間にかそれが癒されちゃったのかなぁ?匂いに対して、気持ちがオープンになってきたんだよね。

それで香水など買ってきて、つけたりするようになった。が、嗅げないものは嗅げないままなので「果たしてコレは、どんな匂いがするのだろうか?」と、首をひねりつつ、つけている。

なので「これは七実に合うだろう」と見立てて贈って下さる、香水とか匂い関連のプレゼントは、「その人が選んでくれたものだから、きっといい匂いなのだろう」と自信を持って使うことが出来るので、とても嬉しいのだ。

どんなに頑張っても、匂いを知ることは出来ないわけで、教えて下さるのは、本当にありがたい。

気を使って、私に匂いのことを話さないようにして下さる方もいらっしゃるけれど、話してくれた方がいいなって、最近は思うようになってきた。

街を歩いたりしていて「カレーの匂いがするね〜」と言われると、私はその匂いを嗅ぐ事はできないけれど、無意識に、それを思い出そうとはしている。

残念ながら、カレーがどんな匂いなのかは、思い出せないけどね。

だけど先日「たこ焼きの匂いがするね」と言われて、久し振りにソースの匂いを思い出すことが出来たんだよ。あぁ、匂いって、こういうものだったんだ、って。

「匂いは存在しない」状態で生きていると、匂いの記憶も、再び匂いを嗅げるようになるかもしれないという希望も、どんどん無くなっていってしまう。

以前「きっと嗅覚を取り戻せますよ」と、私を勇気づけてくれた方がいらっしゃっるのだが、私自身は半々というか、「嗅覚を取り戻せる!」という確固たる自信が今だ持てないでいるのは、「匂いは無いのが当たり前」に慣れちゃったからかもしれない。

もうちょっと意識が「匂いは存在する」状態に、戻ってくる必要があるみたいだなぁ。